キーワードは「国内ではコウゾとミツマタは栽培されガンピは栽培に向かず野生のものを使う」。

 手漉き和紙の原料には、コウゾ(楮)、ミツマタ(三椏)、ガンピ(雁皮)、アサ(麻)、藁、タケ(竹)などがあります。これらの中で、一般に和紙の原料として使用されるのは、コウゾ、ミツマタ、ガンピの三種類ですが、ガンピは生育が遅く、栽培には適さないため、普通は野生のものを使用するので、国内で手漉き和紙の原料として栽培されているのは、コウゾとミツマタの二種類です。

 コウゾは、クワ科の落葉低木で、産地は全国に分布していますが、陽性植物で強い日照を好むので、暖かい南面の山腹傾斜地が栽培に適しています。
また、梅雨前後の雨が生育に大きく影響するので、降雨量が多く、強風は枝同士が、擦れ合い、靭皮を傷めるので、なるべく風当たりの少ないことが大事です。

 コウゾの繁殖法には、分根法、挿し木法等がありますが、分根法が適しているようです。分根法は、十一月頃、地表近くに張っている根を掘り起こし、一五センチほどの長さに切り、一ヵ所に集めて囲って冬を越させ、翌春、四月頃、適当な間隔に挿し、管理をしますが、コンニャク、チャ、トウモロコシ等と混植することが多いようです。

 中耕、除草は、春の萌芽前(三月)、梅雨頃(六月)、土用(八月)の年三回行なうのが普通です。
収穫は、落葉から翌年発芽する前まで(普通十二月〜一月)に行ない、毎年収穫でき、本格的に収穫できるのは三年目頃からです。株の寿命は二〇〜三〇年と言われていますが、百年経た古株でも収穫できるものもあるようです。

 ミツマタは、ジンチョウゲ科の落葉低木で、栽培坦としては、関東以西の温暖地が適地であり、中国、四国地方の山間部に多く栽培されています。半陰性植物で強烈な日光を嫌うため、北面の山腹が適していますが、南面で栽培する場合は、高木との混植や密植栽培など樹陰を利用する方法がとられています。

 また、風当たりが少なく、排水の良好な上地が良く、山間の傾斜地で、平地より降雨量が多く、春夏の植物生長期に朝夕濃霧に覆われるような所が栽培に適しています。

 ミツマタの繁殖法には、実生法、株分け法、挿し木法等がありますが、普通は、実生法が多く行なわれています。

 種子は、六月中旬〜七月上旬頃、種子が自然脱落寸前の時期に、植え付け後、五、六年の生育盛んな株から採取したものを砂と混ぜて埋蔵し、翌春(四月下旬〜五月上旬)に取り出し、水洗して浮き種子等を除去します。種をまく時期は、四月下旬〜五月上旬頃で、ミツマタの苗は直射日光を嫌うので、寒冷紗を利用して遮蔽し、種をまいた後に一、二回程度間引き、同時に除草、中耕、施肥などを行ない、翌春、畑に移植するIカ月くらい前に苗を掘り出し、束ねて日陰に仮植しておき、時期をみて定植します。
ミツマタの栽培方法には、普通栽培法と密植栽培法があり、密植栽培法には、直まき密植栽培法と移植密植栽培法がありますが、比較的多い移植密植栽培法では、春、四月頃、苗を一〇アール当たり八千〜一万二千本程度移植し、管理します。

 収穫期は、十一月下旬(落葉後)から翌春の四月頃までが適期で、三年目から三年ごとに収穫でき、株の寿命は三回収穫するまでといわれていますが、それ以後も収穫することもあるようです。

(澤村淳二)


             

※参考文献『和紙の手帖』(全和連発行)p70-71 全国手すき和紙連合会発行

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