因州和紙(いんしゅうわし)
【所在地】 鳥取県佐治村/青谷村
【主製品】 画仙紙・楮紙・三椏紙・書道半紙・大麻紙・日本画紙・民芸紙・染色紙・和紙加工品
鳥取県の因州和紙の起源は定かではありませんが、律令制度が制定された後のことと推定されています。

正倉院文庫「正集」には、因幡国の国印や倉印のある文書が残っており、8世紀半ば奈良時代頃、因幡の国で紙が生産されていたとされています。続く平安中期の「延喜式」(927年)には、因幡の国から朝廷へ紙及び紙原料が献上されたと明記され、1600年頃の亀井公文書においては、楮、雁皮といった原料が記述されています。
江戸時代には、鳥取藩から手厚い庇護を受けて生産が広がり、明治30年頃には1,300戸の事業所を数えました。

戦後書道用紙の生産に注力し、昭和30年頃より拡大を続け、書道の復活も追い風となり、「因州和紙」は画仙紙の主要産地として全国に名を馳せています。
また「手漉き和紙」では伝統的な産地として、昭和50年に伝統的工芸品産業(和紙部門)として全国で最初の産地指定を受け、国の認定する伝統工芸士も20名を数えています。

因州和紙は青谷町と佐治村が産地として栄え、鳥取県因州和紙同業会という組織を設けて横の繋がりを大切にするとともに、各種見本市・展示会の開催、出品参加、産地問屋との折衝、行政への対応等を行っています。

過疎化が深刻化する因州和紙の産地にとって、地場産業への行政支援は手厚く行われており、平成7年11月にオープンした佐治村の和紙伝承施設「かみんぐさじ」には中小企業総合事業団から譲り受けた手抄和紙省人化装置が設置され、新製品の開発、労働条件の向上に貢献しています。
また、平成14年8月には展示、体験、研修等を通じて因州和紙の素晴らしさを再認識してもらうため「あおや和紙工房」が青谷町にオープンします。

昭和30年代から生産されてきた画仙紙は、近年台湾、韓国、中国産輸入紙にシェアを奪われ、生産者の減少が続いてはいますが、付加価値の高い書道紙、染紙などに活路を見出し、現在も40あまりの事業所で約20億の生産が行われ、ひたすら書道家に喜ばれる紙、より良い紙づくりを目指し、懸命の努力に努めています。

昔から因州の代名詞として生産された「因州筆切れず」、和紙加工品が全国に広く売り出され、和紙愛好家に愛用され命脈を保っています。加えて、最近ではブランド品の開発にも力を入れ、多様に立体抄紙されたランプシェードやインテリア製品、パソコン用印刷紙、優れた伝統技術で機能性物質などを抄き込んだ新機能性和紙など「現代生活に生かされる」新製品と新たな市場を開拓しています。

省力化装置
自動的に原料が出てくる
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