【その他の紙】
繊維のある植物ならだいたい紙になりますが、問題は処理がしやすいか、安定的供給が可能かにしぼられます。楮、三椏は栽培と処理が他のものより容易であり仕上がりがよいために主原料になっています。以下に紹介する原料以外にも、棉、ケナフ、バショウ、イグサ、オクラ、桑、バナナ、パイナップル、小麦、大麦、サトウキビ、トウモロコシ、ココヤシ、藤、シナノ木、葛、葭などがあります。

笹紙
笹紙は、北海道幌加内町の豊かな森林に育成する千島笹の若い茎(幼稈)から作られます。日本一の最低気温(マイナス41.2℃)を記録したこともある極寒の地幌加内の厳しい自然の中で育った千島笹は、繊維が緻密で強くしかも驚くほど軽くしなやかな紙を生み出します。また、千島笹の性質を生かし、若い茎だけを採取する方法なので親笹には影響がなく、毎年同じ場所で採取でき、森林保護の面からも注目されています。笹紙は、夏は涼しさを。冬はあたたかさを感じるやさしい風合の紙ですが、大手電機総合メーカーでは、千島笹パルプを使用して、スピーカー用振動板「ホロファイン」を開発し、平成3年より、テレビやCDプレイヤー等の商品に使用しています。
ふき紙
北海道音別町は2mをこす蕗で有名です。山菜加工施設から年間30トン(道内推定250トン)の蕗皮が廃棄されていましたが、この蕗皮には良質なパルプが含まれているので、これを紙に漉き上げることに成功しました。その陰には、高橋正人氏の不純物の除去に苦労した3年以上の研究開発努力がありました。工程は皮むき―乾燥(腐らないように天日乾燥)―晒し―蒸し―叩解―ほぐし―紙漉きです。富貴紙と名づけて売られています。
杉皮紙
杉の皮のもつ自然の風合、香りを紙に移すことにより、天然の色が再現され、心をなごませます。土佐の杉皮紙は、楮をつなぎに使い、杉皮の表皮を漉き上げています。吉野では、表皮の内皮を原料にすることに奈良県森林試験所が成功し、植製紙所でやわらかい杉皮紙を漉き上げました。これと対局にあるのが、能登仁行和紙の遠見京美さんの漉いている紙。杉皮のみで、粗く、たくましい繊維をそのまま漉き上げた力強い紙です。阿波では、県内の杉の一大産地である木頭村の木頭杉を使用します。機械剥ぎでは木質部が混入されるため使用できず、製材所へ依頼して手剥ぎのものを使用しています。
1.杉皮を5cmくらいにカットしたものを20〜25%の苛性ソーダで、柔らかくなるまで煮熟します。
2.炊けたらあく抜きを行ない、ナギナタビーターで叩解。あく抜きの度合いや状況で色目がその都度異なるため、色を合わせる場合は染色を施します。
3.10%の楮と合わせて抄紙。杉皮と楮の割合や杉皮の繊維の長さなどの調節で、様々な風合の紙ができます。
因州和紙の竹紙
原料は竹、つなぎに雁皮。竹は中国では古くから紙の主原料で、日本では江戸末期より使用されています。竹繊維は吸水性のよい繊維です。作り方は圧力釜で5気圧以上で煮ます。2、3日おいて、灰汁抜きを約3日間繰り返します。灰汁が抜けたらビーターで打解し、漂白後カルキ抜きを約3日間繰り返します。つなぎの雁皮も平釜で煮ます。灰汁抜き(3、4日)、漂白(2日)、カルキ抜き(3日以上)を繰り返し、チリ取り後打解します。原料づくりで3週間〜4週間かかります。特徴は、にじみ、墨色が良く、濃淡がはっきりすることです。
水俣和紙の筍皮紙
筍の皮を原料にした珍しい紙。素材が素材らしくあり続けることを考えながら漉いています。煮熟は、ソーダ灰、苛性ソーダの2回煮熟、すべて手打ち叩解、乾燥は天日で行いました。水俣は言わずと知れた公害の街、かつて近代化学工業はいわゆる農漁村の暮らしむきを変え、またまた公害は街が近代化することをも許しませんでした。新しい一歩をふみ出した街で、新しい伝統がつくり出せたら・・・、そんな思いをたいせつに漉いていますが、自然を手にしたようで利用者には喜ばれています。
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