土佐和紙(とさわし)
【所在地】 高知県土佐市/吾川郡/高岡郡/香美郡/長岡郡
【主製品】 楮紙・表具用紙・美術工芸紙・書道用紙・色紙・短冊・障子紙・雁皮紙・麻紙・卒業証書用紙・図引紙・典具帖紙・奉書紙・版画用紙・須崎半紙
土佐和紙の起源は定かではありませんが、平安時代の『延喜式』献上品として土佐の紙の名が文献に登場しています。土佐和紙が広く知られるようになったのは、16世紀末の土佐七色紙の出現によります。この紙が徳川幕府への献上品となり、さらにこの流れをくんで薬袋紙(やくたいし)、青土佐紙等の染紙が有名になってゆきました。

こうして江戸時代末期には全国有数の産地だったのですが、さらに紙業界の大恩人といわれる吉井源太の登場がありました。翁は製紙用具の改良、原料の栽培、時代に即した多くの新しい紙の発明に加え、広く海外に市場を求めました。その功績により、明治時代の中頃には圧倒的な全国一の生産を誇るようになったのです。

こうして紙業王国土佐を誇ったわけですが、戦後の日本の高度成長の荒波にもまれ、全国の例に洩れず衰退を余儀なくされてゆきました。

このような状況の中で活性化を図るべく協同組合が結成され、全国に先駆けてさまざまな事業に取り組んで今日に至っています。
主要都市で開催される展示会、アメリカ、ヨーロッパ等の海外普及、原材料の確保等多くの事業を行なっていますが、中でも土佐和紙の窓口としての共同販売は最大の事業といえます。

土佐和紙は施設面においても恵まれており、昭和60年にオープンした土佐和紙伝統産業会館(いの町紙の博物館)はまさに土佐和紙の殿堂として広く親しまれています。
伊野町を走る国道 33号線に面した場所にゆったりと構える和洋折衷の建物がそれです。「和紙の歴史」「原料と用具」「手漉き教室」「現代の和紙」の4室からなり、土佐和紙のことがよく分かるだけでなく、現在高知県で漉かれている和紙が一堂に展示されています。また、常時紙に関連した特別展も開催されており、好評を得ています。
平成7年には、伊野町に高知県立紙産業技術センター(前高知県紙業試験場)が装いを新たにオープンし、手漉き、機械すきを問わず研究されています。

現在の和紙業界にとっての最大の問題点は後継者にあります。平成7年、伊野町の国道194号線沿いに和紙体験実習館をメインとする土佐和紙工芸村が完成しました。訪れた人たちが和紙の体験を楽しめると同時に、ここは土佐和紙の後継者の育成の場でもあります。

現在 10名ほどの後継者が研修に励んでいます。全国一を誇る良質の原料生産、優れた用具製作、高度な製紙技術の三位一体に裏付けされた土佐和紙は、その種類の豊富さが最大の特徴といえます。

また、その品質は高い評価を受けており、中でも、昭和 48年に「土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし)」、昭和52年に「土佐清帳紙(とさせいちょうし)」が国の無形文化財(記録選択)に指定され、さらに昭和51年には「土佐和紙」の名称で国の伝統工芸品の指定を受けるに至りました。

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