05.04.15up

今年は例年にない豪雪に見舞われた新潟県。でも、20年ほど前はこれが普通の冬だったそうです。豪雪の中で乾燥を待つ紙床の様子の写真と共に、高志(こし)の生紙便第5号が届きました。一部をご紹介します。




工房前の雪薹とその中で
板干し乾燥を待つ紙床
 
 今年の雪は、久しぶりに3メートルに届き、20年ほど前までの普通の冬になりました。地元の人には嫌われそうですが、実をいうと僕は、雪掘りが大好きである。単調でありながら知恵が能率を左右するし、もちろん掘るコツ(技)もそして強靭な体力と飽きることのない持続力を必要とするので、入社試験で雪堀りの3日もされれば、その人の人物が丸見えというもの。
降る雪がスコップを握る僕の素手に舞い降りて、微かな湯気を発しながら消えていく。一服タバコに火をつけ、ボケーと天を仰げば飽きる事のない無限の世界に暫し引っ張られる。老眼に走り出した両目でおぼろげに見えてくる雪の結晶もまた不思議な精である。クタクタによろめきながらも、もくもくと掘り続ける無心が何より心清々しい。
 僕は二十歳の頃、「人はなぜ石になったり、水になれないのだろう」と思ったことがあった。その頃の僕は、自分が死んだ後けなされる事もほめられる事も屈辱で、只何もなかったかのような死後だったら幸せなことだと思っていた。それが年を経て少し欲が出てきて「奴は奴なりに一生懸命生きてきた人生だtった」と家族や仲間からほめてもらえばありがたいと想うようになった。自然だけでなく人も意識する現われであり人間臭くなったといえる。
本用紙について
長蔵のじいさんの裏山にある楮畑は、かなりきつい傾斜で近年刈り取りだけ応援に行っていました。最初は背中で背負って運び出していたのですが、その後古くなったスキーを改造したソリで運び出すようになりました。雨の時などソリの下にならないように、走りながら転ばないようにスリル満点の運搬。紙漉をしていたじいさんは、楮の皮引き(けずり)は表皮のみ、そぎ落としアマ皮を残し誰よりも無駄のない紙屋らしい皮引きをする。決して上品とは言えないのですが、和紙がまだ必需品であった時代の倹約型で庶民紙としての素朴感溢れる紙でした。そのじいさんも九十歳を越して残念ながら昨年が最後の皮引きになってしまいました。その楮皮を今回の生紙便に使いました。


イベント情報
◇高志の生紙工房 第1回 きがみ市
 4月16日(土)〜4月24日(日) 9:00〜17:00
 ・よりぬきの1枚からちょっと惜しいお得な紙まで
 ・会期中、全製品定価より10%OFF
 ・ハンパ、規格外品特別価格
 ・10年以上寝かした紙の販売など
◇鈴木孝枝写真展
 4月10日(日)〜6月末
 ・門出和紙に現像された写真
「高志の生紙工房」からのお知らせ
【見学、製品ご希望のお客様】
○見学(説明)は無料です。(団体でお越しの場合は事前にご連絡下さい。)
○説明の所要時間は30分程(門出和紙のできるまでのビデオ15分含む)
○最初に工房スタッフに申し出てください。係りの者がご案内申し上げますが、作業の都合等により即対応できず、しばらくお待ちいただくこともありますのでご了承下さい。
○当工房は生産施設でもありますので、道具や原料、製品等には触れないでください。
また、作業中のスタッフに話しかけることもご遠慮願います。

【体験プログラムのご案内】
○体験は前日までに申し込んでください。(団体の場合は早めにご予約下さい。)
プログラム 詳  細 所要時間 料  金
紙漉き
(10枚以上から受付)
半紙判(39cm×27cm)便箋2枚
取判(伝統製法による素材としての紙作り)
約40分 基本料金3,000円+300円(1枚)
他 送料実費
紙流し
(5枚以上から受付)
半紙判の網枠に和紙原料を流し込む(草花を入れるなど作品としての紙作り) 約30分 1枠(1枚)500円〜
他 送料実費
折染め
(10枚から受付)
お買い上げ頂いた和紙を折りこんで染液の中に浸し染にします。(染めた紙は当日お持ち帰りができます。) 約40分 紙代 菊判(92×62cm)500円〜
基本指導料(染料代含む)御1人様300円

※紙漉き、紙流しの紙は、乾燥して後日発送となります。送料実費を含め請求書を同封しますので、郵便振替払込用紙にてお支払お願い致します。


○○○ 生紙工房の開館時間と休日
午前9時〜午後5時まで
(正午〜午後1時まで休憩)
休館日は第3日曜日と祝日


「生紙工房」と「生紙便」に関するお問合せは下記まで
越後門出和紙 小林康生
〒945-1513
新潟県高柳町門出
Tel 0257-41-2361
Fax 0257-41-3024
メール k~washi@kisnet.or.jp
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