第二日目/第一分科会(於:アスパ アカデミーホール)

 第1分科会(座長:高知)においては,以下の各項目について活発な意見交流が行われました。
    原料と用具
     1 和紙原料の現状
     2 国産原料と外国原料
     3 国産原料の普及と増産
     4 和紙の用途と原材料の関係
       用具・打解・叩解(ビーター)・
       簑桁・プレス・干板・乾燥機・ハケ
     1 用具の現状と保護
     2 用具製造者の意見
     3 今後の課題

 


第1分科会(原料と用具)報告書 (座長 高知県 大勝散文・宮崎謙一)

 


 第1分科会出席者は15名で、参加者から原料・用具に関する現状や課題などについて発表してもらい、その後、話題を絞り討論を行った。

【意見】

・ 原料栽培者が高齢化し、地元の原料は皆無の状態になっている。自分で楮の栽培を手がけなければならないが、楮主産地の方々の現状や見通しを知りたい。
・減反対策で楮生産組合が頑張ってくれていたが、高齢化が進み生産量も減少している。
 紙すきの若い後継者が自分たちで拷の栽培を始めている。
・原料は、他産地からの移入で90%は輸入ものだ。楮栽培などには手が回らない。
 用具づくりは高齢化が進んでいるが、後継者もあり、今のところ安定している。
・土佐三椏と中国産を使っているが、中国産は年々値が上がり、また土佐三椏も生産量が激減し不安だ。三椏の苗を植えたが大変な作業だ。
 用具づくり・原料づくりが存在し紙すきが成り立っているので、用具の注文を積極的にすべきだ。
・堵の栽培を推進しているが、猪や鹿に食べられ困っている。
・本美濃紙の原料は、需要と供給のバランスが取れている。15年ほど前から楮生産組合が3町ほど栽培しているが、土地がやせて品質も少し悪くなっている。
・雁皮は、採集者が減少した。10年目の雁皮は質が良いがそれ以上経過すると枯死する。
・粘剤や原料を自家栽培しなければならないが、人手が足らなく自生楮を利用している。
 休耕田の利用も考えている。
・土佐本晒し楮を利用しているが品質が低下している,地元で楮栽培を進めある程度収穫が可能となった。残りは、土佐の黒楮を購入し地元で加工をしている。1月は、一家が総出で楮の蒸し作業などの処理を行っている。出前授業を行っており小型の乾燥機やプレス機を準備しなければならない。
・中国の簀桁を使用している。
・手すき和紙は、伝統産業として、また伝統文化としての使命がある。それをわきまえて手すき和紙に携わらなければならないと思う。
・用具の桁は、地元の建具屋さんが作ってくれるが萱ヒゴの将来が不安だ。

【意見の集約】

 原料の地元栽培や楮栽培者の動向などの話を聞きたい意見が多く、全国手すき和紙連合会と楮栽培者との意見交換会を開催してはということになった。
 用具の問題では、用具製作者の状況が充分把握されておらず、このことについても交流会を開催するようにと意見が集約された。

【文責 宮崎謙一】

 


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